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Bible & Gospel

■ No.416 2008年03月16日「闇を光に変える神」

お早うございます、高原剛一郎です

 さて、この数年、石油の値段がすごく上がりました。それにつられるようにして、金が上がり、小麦が値上がりし、食料品まで跳ね上がっています。多くの資源を外国からの輸入に頼る日本にとっては、大きな負担ですね。ところが日本というのは一見資源の乏しい国のように思われていながら、実は隠れた資源大国だって言うんですね。どういうことでしょう。

 隠れた資源レアメタル

 パソコンや家電製品の中には沢山の電子部品が使われていますね。その電子部品には、金や銀やタンタル、インジウムなどのレアメタルが使われてるんです。そして、これら製品に使われている希少金属を合計してみると、世界最大の規模になるっていうんですね。
 たとえば日本国内の家電製品に含まれている金の量は、6800トンに達します。これは世界最大の金の産出国、南アフリカの天然埋蔵量を軽く抜く量です。そして全世界に埋蔵されている金の16%に当たるっていうんですね。銀は6万トン、インジウムは1700トンで、これはそれぞれ世界の埋蔵量の23%と16%に相当します。
 では、これらの希少金属は今どうなってるんでしょう。なんと使用済み製品の廃棄物処理で、ゴミとして放出されているんです。もしこのような都市資源を取り出すことができるなら、日本は世界一の資源大国に変身することになるんですね。そして現在、そのための研究が始まっているのです。今までゴミとして厄介者扱いをされてきたものが、宝の山になるって言うんですね。

 闇を光にする神

 さて聖書の中にこんな言葉があります。「わたしは盲人に、彼らの知らない道を歩ませ、彼らの知らない通り道を行かせる。彼らの前で闇を光に、でこぼこの道を平らにする。これらのことをわたしがして、彼らを見捨てない。」
 ここには神様の自己紹介と約束が書いてあります。神とはどんな方でしょう。「闇を光にする神、でこぼこ道を平らにする神。いわば忌まわしいものを有益なものに変える神、マイナスをプラスにする神。問題を祝福に変えてしまう神なのだ」と言うんです。

 盲導犬クイールの育ての親

 盲導犬クイールの育ての親で、世界的にもその名を知られる訓練士に多和田悟さんという方がおられます。これまでに200頭以上の盲導犬を育て上げ、犬語を話すとまで言われてる方なんですね。多くの訓練士からは、魔術師という風に言われています。どんなにヤンチャな犬達も、彼の手にかかればたちまち喜んで従うからです。

 二人の人物との出会い

 先日彼のインタビュー記事を読み、感動いたしました。実は多和田さんが、盲導犬訓練士になるのに、二人の人物との出会いが決定的であったというんですね。一人は塩見三雄という牧師です。塩見牧師は18才で失明した経緯がありました。やがて同志社の大学院まで進みますが、盲目のハンディキャップのため通常の教会では受け入れてもらうことができず、それで京都でゼロからのスタートを切り伝道していました。そこへ三代目クリスチャン、多和田少年が出入りするようになったのです。塩見牧師はアメリカから戻った時、当時めずらしい盲導犬を連れて帰ってきたことが、多和田少年と本物の盲導犬の最初の出会いとなったのでした。
 やがて多和田さんは、青山学院の神学部に行きます。ところが、当時、日本中に吹き荒れていた学生運動が、学内に入ってくるんです。もう勉強どころでなくなってしまったんですね。それで彼は大学3年で中退し、社会の中で、もっと実践的にキリストの愛を示したいと願うようになるのです。
 その時心に浮かんだのが、京都時代にお世話になった塩見牧師のことでした。彼は盲導犬の訓練士になって、見えない方々の役に立とうと思い立つのです。ところが、実際、盲導犬の訓練士として生活するって言うのは、並大抵のことではなかったんですね。毎朝、五時から深夜まで働いて、しかも給料は、常に未払い状態が続くのです。多和田さんの事業は実質、教師をしていた奥さんの収入で何とかかろうじて持っているというようなものでした。ある時、体調を崩して昼間に自宅に戻って見ると、奥さんが内緒で、内職をしている姿を見つけてしまうんです。それを見たとき、自分の理想のために、これ以上家族を犠牲には出来ないと思い、盲導犬訓練士の仕事を辞める決心をするんですね。

 師弟再会

 さてある日のこと、奥さんは身ごもり、そして出産のために実家に戻ることになりました。多和田さんは一人で晩ご飯を食べることになりました。それを知った近所の人が、彼のおかずを新聞紙にくるんで届けてくれたんですね。彼は厚意に感謝しつつ、何気なくその新聞紙の包みを開いてみると、何と塩見牧師の写真入りの記事がでかでかと載っているではありませんか。タイトルはこうです。「京都にも盲導犬を」もう何年も会ってない人です。ところが不思議に塩見牧師の電話番号がするするっと思い出されてくる。そして、早速電話をして師弟が再会し、改めて自分の使命に立ち返ったって言うんですね。

 点字にも達筆がある

 もう一つの出会いは、高校時代に出会った点字です。彼は教会のボランティア活動として、点字で本を訳すという活動をしていました。そしてある時、点字にも達人がいると言うことを聞くのです。その達人は、既に八百冊の点字本を作成していました。ところで、彼の打つ点字はとても丁寧で、解読しやすい達筆ものの点字だったんですね。達人の噂を聞いた多和田さんは、点だけで成り立っている点字にも達筆があるのかと感動します。そして、その達人は、福岡の拘置所にいる死刑囚であると言うことを知り、二度驚くのです。多和田さんは彼と手紙のやり取りをするようになりました。そして、多和田さんの打っている点字を見てもらったところ、「あなたの点字も充分に達筆ですよって」言われるんです。彼は、励まされることによって、自分の中に力がみなぎっていくのを感じます。そして、自分もいつかは人を励ます人になりたいと思うようになったのでした。

 最悪の中の最悪を最善中の最善に

 世界に誇る名訓練士は、いかにして生まれたのでしょう。盲人の牧師と死刑囚の点字名人との出会いによって生まれたのです。盲目であると言うことも、死刑囚であると言うことも、この世の常識から見るなら、どちらも忌まわしい闇に属することですね。しかし、神は闇を光に変える方でこぼこ道を平ら道に帰ることの出来る方なんです。辛い事件を祝福に転換することが出来る神なのです。いやそればかりか人の過ちや失敗ですらも、宝に変えることが出来る神なのです。
 その最大の実例は、イエス・キリストの十字架です。人間は罪なき神のひとり子イエス・キリストを十字架に架けて、処刑してしまいました。「人が神を裁いた」と言うんです。イエスの十字架処刑は神など欲しくないという人間の強烈な反逆の意思表示です。
 しかし、神はこの十字架を人が罪赦されるための身代わりの刑罰として、お用いになったって語るんですね。神は最悪の中の最悪を最善中の最善に変えてしまわれる方なんです。ならば、私たちは最悪のままで神の前に出て、自分の人生を一切お任せすればいいんではないでしょうか。どうぞ、闇を光とする神、でこぼこ道を平らにするキリストに進み出て下さい。心からお勧めしたいと思います。




国分友里恵:あなたこそは光です
旧約聖書 イザヤ書42:16
 わたしは盲人に、彼らの知らない道を歩ませ、彼らの知らない通り道を行かせる。彼らの前でやみを光に、でこぼこの地を平らにする。これらのことをわたしがして、彼らを見捨てない。