旧約聖書
「私の目に、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。」
(イザヤ43:4)

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「聖書と福音」高原剛一郎

No.797 2015年7月5日

「わたしの目にあなたは高価で尊い」

おはようございます、高原剛一郎です!

カット
 ところで今、あなたが使っている携帯電話は、何台目の物でしょうか。あたらし物好きな方は、モデルチェンジする携帯を次々と買い換えていかれますね。当然、廃棄処分になった携帯が世の中にあふれかえることになります。ところでこれらの要らなくなった携帯電話は、以前は産業廃棄物でしたが、今では宝の山とみなされるようになりました。というのは、携帯電話には、貴重なレアメダルやレアアースがたくさん使われているからです。それで今では、ゴミではなく、都市鉱山と呼ばれるようになりました。不用物から貴重な金属を取り出すことができるからです。例えば今日本には、不用になった製品から取り出せる金の量だけで、なんと6800トンもあるっていうんです。
 今、世界中のすべての金をかき集めた総量が、4万2000トンって言われているんです。その六分の一が日本の、しかも、使い終わった粗大ゴミや家電製品の中に含まれているっていうんですね。現在、世界で最も金が採れる南アフリカの金山では、1トンの鉱石から採れる金の量は、5グラムです。それに対して、使用済み携帯電話1トンから採れる金の量は、400グラムもあるんですね。世界最高の金鉱脈の80倍もの純度が、日本のゴミの中に含まれてるっていうんです。今まで見向きもされなかった廃棄物の山も、見る人が見たら、世界最高峰の大金山に他ならないというのです。専門家はやはり目の付けどころが違うんですね。

神はあなたをどのように見ておられるか

 これは人間に対する見方についても言えるのではないでしょうか。私たちの目には平凡で、何の取り柄もない。あるいは欠点だらけで失敗作のように見える人間も、神の目には実に貴重なものとして、見なされているのだ、と聖書は語っているからです。神はこのように言っておられます。

「私の目に、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。」


 これは直接的には、神に反逆しているイスラエルに対して、語られてことばです。このイスラエルは人類の代表なんです。なぜ神さまの目に、高価で尊いというふうに言われるんでしょうか。

あなたは神に造られれた

 第一に、人は神のかたちに造られているが故に、神の目に尊い存在なんです。
 この世で尊ばれる人とは、どんな人でしょう。競争に勝つ人、成果を上げる人、役に立つ人ですね。それらはみな、すばらしいことです。しかしながら同時に、恐ろしい価値観だとも言えるんですね。というのは、競争に負けた人、成果を上げられなかった人、役に立たなかった人には、人としての価値がないということになってしまうからです。
 実は、ヘブライ語の「尊い、とうとい」ということばの中には「重い」ということばが組み込まれています。「尊い」とは「重んじられる」ということなんですね。日本語でも「重い」という文字のつくことばには「大切さ」という価値観が含まれています。「重要」「重視」「重大」「重厚」「重役」「丁重」いずれも重んじられる意味がありますね。神は人間を重く見てくださってる、尊く見てくださってるんだというんです。そしてその根拠は、最も重んじられてしかるべき神のかたちに似せて、人が造られているからだ、と聖書は語るのです。神のかたちとは、神の人格です。天地創造の神は、完全なる人格を持つお方です。そして人は、神のかたちに似せて造られた人格を持つ存在であるが故に、神の目に尊い存在なのです。

愛に渇いている人間

 第二に、人は神の愛の対象であるが故に、尊い存在なんです。  アメリカのアカデミー賞長編アニメ部門で、第1回目のアカデミー賞をとった作品に「シュレック」という作品があります。シュレックという巨人の前に、ある時、フィオナ姫という女性が現れるんです。ところで彼女は、昼の間はそれはそれは美しい絶世の美女なのですが、夜になると、見るもおぞましい怪物の姿に変わってしまうのです。そして、そのどちらの姿もが、彼女なんです。美しい面と醜い面。魅力的な面と致命的な欠陥。それらが彼女の中に同居しているのです。シュレックは彼女の正体を知った時、彼女の良い面だけを愛するのではなく、彼女をまるごと受け入れて、接するようになるのです。
 アニメ作品ではありますが、多くの大人の人たちが、この作品を熱烈に支持したのは、みんな、大人になっても、このような愛に渇いているからに違いありません。というのは、程度の違いはあっても、私たちは誰もがフィオナのような者であるからです。どんな悪人と言われる人にも、必ず良い面はあるもんです。またどんな良い人の中にも、醜い面は必ずあるものです。人間は、良く生きたいという願いと、そうせずにはおられないという悪の間を行ったり来たりしている矛盾した存在なのではないでしょうか。しかし、神さまは人間の表面的な美しさ、ではなく、底に秘めたる醜い本性をも知り尽くした上で「わたしはあなたを愛している。」と宣言する方なのです。

あなたのために払われた犠牲の価値

 第三に、神は支払ってくださった犠牲の代価の高さの故に、人は高価だ、と言われているのです。
 ところで「高価なもの」といった時、あなたは何を思い浮かべますか。実は世界の高価な物質を、1グラム単位で計算すると、意外なことがわかってくるのです。金は、たった1グラムで5000円もします。しかし、サイの角は、1グラムで14000円、金の約3倍するんですね。さらに原爆の材料となるプルトニウムは1グラム58万円。ダイヤモンドは688万円。カリホルニウムは875億円。そして反物質は、1グラムあたり、なんと1750京円なのです。これは日本の国家予算の7万5000年分に当たるような金額です。気が遠くなるような、高価なものなのです。
 しかし、あなたの価値は、もっと高いと、神はおっしゃるんです。何をもってそのような事をおっしゃるんでしょう。神はあなたを、罪の刑罰から贖い出すために、物や金ではなく、ご自分のひとり子イエス・キリストを、あの十字架の上で裁いてくださったとおっしゃるのです。あなたはキリストのいのちと引き換えにして、神が救い出そうとしてくださった方なのです。神のひとり子のいのちを犠牲にしてでも、あなたを失いたくないと考えた神は、ただ考えただけではなく、それを実行に移してくださったのです。

勇気を持って神の前に告白

 ちょっと鏡の前に立って、どうぞ言ってみてください。「私を造り、私を地獄から贖ってくださった神さまは、私に向かって愛していると言ってくださる。今私は、私のために罪を負って死んでくださった方、死後三日目によみがえられたイエス・キリストを信じ、ゆだねます。どうぞ私を導いてください。」
 キリストだけが、あなたの救い主なのです。あなたもこのキリストを信じ、そして永遠のいのちをご自分のものとなさってください。心からお勧めしたいと思います。

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